【論稿/肖像権】スナップ肖像写真の著作物性と自由利用の可否-東京アウトサイダーズ事件-(高瀬亜富、知的財産法政策学研究Vol.32(2010))
*知財高判平成19年(ネ)10003
元妻が撮影した夫と子が写っている写真を、子が写っている部分を切り取って、夫を説明する書籍で使った。
⇒著作権侵害
日常のスナップ写真でも、著作物性あり。
著作権は、撮影者である元妻に帰属する。
取材対象者から写真の提供があったが、過失あり。
公表された著作物でないから、引用でない。
氏名表示権侵害
同一性保持権侵害
⇒日常のスナップ写真でも著作権があるから、被写体自身であっても、自由に使えない。
元妻に訴えられないように、自分の写真は自分で撮影するほかないだろう…。
Cf.「過失」が否定された事例
・製作者の持ち込み企画により発行された学術書
⇒採算性の低い学術書の出版に関して、出版社に対し権利関係についての厳密な調査を要求することは酷である。
・スポーツ医学に関する単行本
⇒新会社が山梨県で名が知られた医師であり、被告出版社が地方の小出版社である。
・原告著作物が一般に広く知られた書物ではなかった。
https://lex.juris.hokudai.ac.jp/gcoe/journal/IP_vol32/32_8.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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