令和6年(行ケ)10043【弾塑性履歴型ダンパ】<本多>
1.<甲1発明+甲2発明等>
原告は、一方向の動きに対応する「甲1発明(建築用ダンパ)」に、二次元的な動きに対応する「甲2発明(橋梁用ダンパ)」の配置を適用することは容易であると主張した。
しかし、甲1発明は、建築物の構面に沿った一方向からの荷重を前提としている。
甲2発明は、橋梁の二次元的な動きに対応するために複数方向に配置されるものである。
甲1発明に甲2発明の配置を適用する動機付けはなく、むしろ甲1発明の前提(一方向入力)からは、向きを異ならせて配置することに阻害要因がある。
2. <甲12発明+甲13発明>
本件発明の「一対の剪断部」は「二つ」の剪断部を意味するが、甲12の波形鋼板は一つの連続した部材であり、構成が異なる。
甲13は縦リブの代わりに「窪み」を設けたものであり、「窪み」を一つとすることは、一つが窪みで他が平板となる構成であって、本件発明の「互いの向きを異ならせた一対の剪断部」を示唆するものではない。
3. <サポート要件違反>
原告は、本件発明が「あらゆる方向からの荷重」に対応できるかのようにクレームされているが、明細書には全ての方向に対応できる裏付けがないと主張した。
⇒明細書の記載から、当業者は、従来の「一つの剪断部」しか持たないダンパの課題(一方向しか対応できない等)を、本件発明(二つの剪断部を向きを異ならせて配置)によって解決できると認識できる。
本件発明は「全ての方向からの荷重に対して最大限のエネルギー吸収を行うこと」までを求めているわけではない。
(判旨抜粋)
原告は、本件訂正発明1は、「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」とのみ特定され、どの方向からの荷重にも対応し得るかのように機能的に特定しているが、本件審決は、本件訂正発明1が全ての方向からのエネルギー吸収を行うことができるものではないことを認識していながらサポート要件に違反しないと判断しており、この点において本件審決には誤りがあると主張する。
しかしながら、本件明細書の記載によっても、本件訂正発明1が全ての方向からの荷重に対して最大限のエネルギー吸収を行うことまで求めるものとは認められないから、原告の主張は前提において誤っており、理由がない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-93912.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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