大阪地判令和6年(ワ)4500【買物決済システム】<松阿彌>
本件特許発明の「カメラ」は画像(映像)を取得して商品を識別するためのものである。
他方、被告製品の「バーコードスキャナー」は、画像ではなくバーコード情報(コード)を取得するものであり、機能が異なる。
⇒非充足
本件特許発明は、カメラと「顧客端末」を特定のID等で紐付けることを求めている。
しかし、被告製品は会員番号(顧客識別情報)のみで店舗端末(カート)と対応関係を作っており、顧客端末自体との技術的な「紐付け」は行っていない。
⇒非充足
本件特許発明は、カメラ画像から商品識別ができない場合に「異常」とする。
他方、被告製品は、スキャン無しでカゴに入れた際の「重量センサーの変化」で異常を検知するものであり、画像識別の成否によるものではない。
⇒非充足
(判旨抜粋)
本件明細書の記載及び当業者の通常の理解によると、本件発明の「カメラ」は、光学系を用いて被写体の映像を撮影素子等の面上に結ばせる装置(広辞苑(第7版)参照)をいうものと認められる。被告製品のバーコードスキャナーについて被告製品のバーコードスキャナーが、上記のような機能を果たすことを認めるに足りる証拠はなく、また一般に、バーコードスキャナーは、バーコードに化体した「情報」を取得するものであって、「画像」を取得、すなわち撮像をしないから、被告製品のバーコードスキャナーが構成要件Bにいう「カメラ」に該当することはない。
・・・
構成要件Dにおける「紐付け」の技術的意義に係る原告の主張は判然としないが、本件発明1は、購入しようとする商品の撮像情報をカメラが管理サーバに送信し(構成要件E)、管理サーバが商品の識別結果を顧客端末に通知すること(構成要件F)を構成要素とするものであり、その前提としてカメラと顧客端末の対応関係を確立することをいうものと解される。この点、原告は、被告製品は、構成要件Fに係る処理が「店舗端末」で行われること(顧客端末では行われないこと)を争わないところ、前記のとおり、被告製品は、顧客端末がなくとも正常に買物が可能であること(顧客端末が被告製品の技術思想を実現するのに必須の構成ではないこと)も考慮すると、店舗端末が対応関係を確立するのは顧客識別情報(会員番号)のみであると認められ、これを超えて、「顧客端末」と、店舗端末のバーコードスキャナーが、上記の意味で「紐付く」ものとは認められない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94493.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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