令和6年(ネ)10069【トイレットロール等】<中平>
①「エンボス深さ」の定義がクレーム上にない。
⇒明細書に記載された特定の測定方法(断面曲線から輪郭曲線を算出し、変曲点P1、P2を特定する方法)に従うべきであり、控訴人が主張する独自の測定方法(面粗さ測定など)は採用できない。
(判旨抜粋)
<トイレットロールの「エンボス深さ」の測定方法>
本件発明1に係る特許請求の範囲の記載には「エンボス深さ」の定義に関する記載はなく…。
本件発明1に係る特許請求の範囲の記載にある「エンボス深さ」の用語の意義は、本件明細書1の上記各段落に記載された測定方法によって測定される数値と解すべきである。…
本件明細書1の上記各段落に記載された測定方法は、本件明細書1の前記各段落に記載された測定方法と同じである。
②パッケージの「スリット状の指掛け穴」の構成
⇒パッケージの持ち手部分の形状について、製品の状態(切り抜く前)で判断すべきである。
『被控訴人製品1及び3のスリットは、中央は弧状であるとしても、その両端部はそれぞれ外側に湾曲して下方に向かい、終端が内側に位置するという形状であるから、スリット自体の形状が「ほぼ長円」であるとはいえない。』
③均等侵害の成否
⇒出願過程で意識的に除外した経緯もあるため、均等侵害も成立しない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94688.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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