知財高裁令和6年(ラ)10002<宮坂>
『発信者情報開示命令申立却下決定に対する即時抗告』事件
台湾のプロバイダーが日本国内でサービス提供
⇒日本に裁判管轄あり!!
(原審は「管轄があるとはいえない」と判断していた。逆転!!)
(判旨抜粋)
1 プロバイダ責任制限法9条1項3号は、我が国の裁判所が発信者情報開示命令の申立てについて管轄権を有する場合として、同項1号及び 2 号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるときを定めている。ところで、近年における情報流通の国際化の現状を考えると、インターネット上の国境を越えた著作権侵害に対する司法的救済に支障が生じないよう適切な対応が求められている。地域的・国際的にオープンな性格を有するインターネット接続サービスの特性を踏まえると、当該サービスを提供する事業者の業務が「日本における」ものか否かを形式的・硬直的に判断することは適切でなく、その利用の実情等に即した柔軟な解釈・適用が必要になると解される。こうした点を踏まえて、以下具体的に検討する。
2 相手方が「日本において事業を行う者」といえるか
一件記録によれば、相手方は台湾に所在し、電気通信業を営む法人であるも のの、日本国内において、主に台湾からの旅行者のために国際ローミングサービスを提供しており、日本の空港等では日本から台湾への旅行者向けにSIM カードを販売していることが認められる。そうすると、相手方は、「日本において事業を行う者」に当たるということができる。
3 「申立てが当該相手方の日本における業務に関するもの」といえるか
一件記録によれば、…日本語による記載があることが認められ、本件各投稿は、日本人向けに提供されているSIM カードその他の相手方の日本人向けサービスを利用して行われた可能性が高いといえる。…
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/389/093389_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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