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【商標法★★】本願商標「EQ」は、商標法3条1項5号所定の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当し、かつ、同条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」ものに該当しないから、商標登録をすることができないとした拒絶審決を取り消した事例

2019年11月15日

知財高判令和元年7月3日(平成31年(行ケ)第10004号)(高部裁判長)

 

◆判決本文


【判決要旨】

1.本願商標は、欧文字の「E」と「Q」を、一般に用いられる書体により、「EQ」と横書きしてなり、用いられる文字の形や組合せ方法に特徴がない。そして、本願の指定商品である自動車に関連する業界においても、欧文字2字が、商品の品番、型番、等級等を示す記号、符号として用いられることがあるところ、かかる本願商標は、かかる欧文字2字との比較において特段の差異がない。よって、本願商標は、商標法3条1項5号所定の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当し、本来商標登録を受けることができない。
 
2.商標法3条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」かどうかは、当該商標が使用された期間及び地域、商品の販売数量及び営業規模、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合して判断すべきである。

 そして、原告による電動車ブランド「EQ」の広告宣伝の態様等の事実によれば、本願商標については、著名な自動車メーカーである原告の発表する電動車やそのブランド名に注目する者を含む、自動車に関心を持つ取引者、需要者に対し、これが原告の新しい電動車ブランドであることを印象付ける形で、集中的に広告宣伝が行われたということができる。そして、本願商標が世界的に周知されるに至っていたと認められることも勘案するなら、 広告宣伝期間が比較的短いことや、『EQ』を名称の一部とする車の販売台数が多いとはいえないこと等の事情を考慮しても、原告の電動車ブランドを表す商標として、取引者、需要者に、本願商標から原告との関連を認識することができる程度に周知されていたものと認められる。

 よって、本願商標は、商標法3条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」ものに該当するから、商標登録をすることができないとした拒絶審決には誤りがある。

 

【コメント】

1.判決要旨1は、普通の書体による欧文字2字からなる標章「EQ」について、商標法3条1項5号該当性を肯定したものであり、裁判例(知財高判平24・10・25(平23(行ケ)10359号)〔AO事件〕等)・審決例(平成22年7月21日不服2009-5195〔RS事件〕等)及び出願実務(商標審査基準第1の七、3、(1)、(イ)、①)上、一般的なものである。
 
2.判決要旨2は、普通の書体による欧文字2字からなる標章「EQ」について、広告宣伝期間が比較的短く、商品の販売実績も比較的少ないにもかかわらず、ブランディングのための集中的な広告宣伝活動や世界的な周知性の獲得を重視して、使用による識別性を肯認し、商標法3条2項該当性を肯定し、これを否定した拒絶審決を取り消したものであり、裁判例・審決例及び出願実務上、比較的珍しい事例として参考になる。

 

【判決の抜粋】

1.「取消事由1(商標法3条1項5号該当性の判断の誤り)」について

(1)「商標法3条1項5号は、『極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標』について、商標登録を受けることができない旨規定している。その趣旨は、このような商標は、自他商品又は役務についての識別力を欠いており、商標としての出所表示機能を果たし得ないものである以上、通常、特定人による独占的使用を認めるのに適しないから、商標登録を認めないというものと解される。」

(2)「本願商標は、欧文字の『E』と『Q』を、一般に用いられる書体により、『EQ』と横書きしてなるものであり、用いられる文字の形や組合せ方法に特徴があるわけではない。

  一般に、欧文字2字からなる標章は、商品の品番、型番、等級等を示す記号、符号として用いられることがあるところ、本願の指定商品である自動車の関わる業界においても、欧文字2字が、商品の品番、型番、等級等を示す記号、符号として用いられることがある(乙2~5)。そして、文字の形や組合せ自体に特徴があるとはいえない本願商標は、自動車関連業界で商品の品番、型番、等級等を示す記号、符号として用いられる欧文字2字との比較において特段の差異があるとは認められない。

  よって、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標に該当するというべきである。」

 
2.「取消事由2(商標法3条2項該当性の判断の誤り)」について

(1)「商標法3条2項は、同条1項3号ないし5号に対する例外として、『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』は商標登録を受けることができる旨規定している。その趣旨は、特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから、当該商標の登録を認めようというものと解される。

  そして、使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標が使用された期間及び地域、商品の販売数量及び営業規模、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合して判断すべきである。」

(2)本件において、「本願商標については、著名な自動車メーカーである原告の発表する電動車やそのブランド名に注目する者を含む、自動車に関心を持つ取引者、需要者に対し、これが原告の新しい電動車ブランドであることを印象付ける形で、集中的に広告宣伝が行われたということができる。加えて、本願商標は、本件審決時までに、出願国である英国及び欧州にて登録され、国際登録出願に基づく領域指定国7か国にて保護が認容されており、世界的に周知されるに至っていたと認められることも勘案するなら、本願商標についての広告宣伝期間が、パリモーターショー2016で初めて公表された平成28年9月29日から本件審決時(平成30年9月7日)までの約2年間と比較的短いことや、原告が平成29年から販売している『EQ POWER』との名称のプラグインハイブリッド車の販売台数が多いとはいえないこと等の事情を考慮しても、本願商標は、原告の電動車ブランドを表す商標として、取引者、需要者に、本願商標から原告との関連を認識することができる程度に周知されていたものと認められる。」

(3)「以上のとおり、本願商標は、商標法3条 … 2項の使用をされた結果需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものに該当するから、商標登録をすることができないとした本件審決には誤りがある。」

 

【Keywords】欧文字2字、EQ、商標法3条1項5号、極めて簡単、ありふれた、本来的識別性、商標法3条2項、使用による識別性、ダイムラー

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 
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