高石秀樹 弁護士・弁理士が「第23回知的財産権誌上研究発表会」で講演した「数値限定発明の充足論、明確性要件」がパテント誌に掲載されました。

タイトル: 数値限定発明の充足論、明確性要件(複数の測定条件が存在する場合、その他の類型について)
著者: 高石 秀樹 弁護士・弁理士
雑誌名: パテント71巻6号21-32頁
出版社: 日本弁理士会
発行日: 2018年5月10日
詳細: 【一般に、数値限定発明(パラメータ発明を含む)は、被告製品ないし方法のパラメータが数値範囲内であれば、発明の技術的範囲に属する。もっとも、数値範囲が一見すると明確であっても、属否を検討する段階でパラメータの多義性が問題となることがある。具体的には、①測定方法・測定条件(以下、纏めて「測定条件」という)により測定結果が異なる場合、及び②パラメータの技術的意義が多義的である場合がある。①及び②は混同して論じられることもあり、裁判例においても明確に峻別されていないが、被疑侵害者が準備すべき主張・立証方法が異なるため、両類型の相違を認識しておくことは有用であると思われる。これらの類型①②の帰趨は特許権者不利の結論が大多数であるため、特許権者はこれらの類型①②の土俵に引き摺り込まれないように応答することが望ましい。
また、③パラメータは多義的ではないが、被告製品・方法の属否判断において問題となるその他の諸類型を整理する。③の主要な類型としては、(1)クレームアップされた測定方法を被告製品に適用できない場合、(2)数値範囲を僅かに外れる場合の有効桁数の問題と均等論、(3)1 個の製品中に数値範囲に含まれない要素が混在する場合、(4)製造誤差により数値範囲に含まれる製品と含まれない製品とが存在する場合、(5)製造後の経時変化により数値範囲に含まれる場合、(6)「十分に」「略」「実質的に」等の程度を表わすクレーム文言と充足論・明確性要件、等の諸類型がある。
以下、本文において各類型の概要及び留意点を整理する。本文中で引用した裁判例のうち重要なものは脚注に判決文を抜粋したため、適宜参照されたい。
リンクURL:https://system.jpaa.or.jp/patent/?year%5Byear%5D=2018&month%5Bmonth%5D=08