部分優先②

 

昭和58年(行ケ)54【テクスチヤヤーンの製造法】

 

*部分優先の一般論

※令和1年(行ケ)10132と整合する

 

「第一国出願に含まれていない構成部分(B)と第一国出願に含まれている構成部分(A)の両者がそれぞれ独立して発明を構成するときに限り,第一国出願に含まれている構成部分(A)につき優先権の主張を容認する」

 

(判旨抜粋)

複合優先の場合,二以上の優先権主張を伴う我が国への特許出願に係る発明がそれぞれの第一国出願に係る発明に基づく事項を含んでいても,我が国への特許出願に係る発明がこれらの事項を一体不可分のものとして結合することを要旨とするものであるときは,この点を要旨としない第一国出願に基づく優先権の主張を容認することは,単一の時点の技術水準に基づき一体的にのみ特許要件の判断を受けるべき当該発明の性質に背馳し,許されないし,また,部分優先の場合も,我が国への特許出願に係る発明が第一国出願に含まれている構成部分(A)に他の構成要件ないし構成部分(B)(これは第一国出願に含まれていない。)を一体不可分のものとして結合するものであるときは,前同様の理由から構成部分(A)について優先権の主張を容認すべきでない。

ただ,我が国への特許出願に係る発明のうち第一国出願に含まれていない構成部分(B)と第一国出願に含まれている構成部分(A)の両者がそれぞれ独立して発明を構成するときに限り,第一国出願に含まれている構成部分(A)につき優先権の主張を容認することができるものと解するのが相当である。

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/200712/jpaapatent200712_096-121.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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