東京地判平成30年(ワ)34728【分割起点形成装置】<田中>

 

*発明の加工対象物を提供するだけ

⇒間接侵害不成立

 

=令和2年(ネ)10002<森>(控訴審)

 

「被告各製品は…加工対象物を提供するという位置付けを有するものにとどまる…『生産に用いる物』に当た(らない)。」

 

 

(判旨抜粋)

…本件発明に係る「物」である「分割起点形成装置」(構成要件A,D)は,「内部にレーザ光で改質領域を形成したウェーハを分割するための」装置であるものであって,上記の「形成した」という記載文言からすれば,既にその内部にレーザ光で改質領域が形成されたウェーハを加工対象物として,その割断のための分割の起点を形成する装置であることが明らかである。…

そうすると,SDレーザソーに搭載される被告各製品は,あくまでその内部にレーザ光で改質領域を形成したウェーハを製作するためのものであり,本件発明に係る分割起点形成装置に対しては,その加工対象物を提供するという位置付けを有するものにとどまるというべきであるから,このような被告各製品をもって,同分割起点形成装置の生産に用いる物ということはできないというほかない。したがって,被告各製品は,本件発明に係る「物」の「生産に用いる物」に当たるということはできない。

 

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/151/089151_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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