東京地判平成28年(ワ)32038<沖中>【光学情報読取装置】

 

公然実施発明の課題を、本願発明と共通すると認定し、周知技術と組み合わせる動機付けを認めた。

⇒進歩性×

 

「きれいな像が必要とされるならば,当然に,受光素子の周辺部の集光率を低下させないことも求められる」

 

(判旨抜粋)

…ビデオカメラ(デジタルカメラ)においてきれいな像が必要とされるならば,当然に,受光素子の周辺部の集光率を低下させないことも求められるものであり,この意味で,2次元コードリーダ(IT4400)とビデオカメラ(デジタルカメラ)は,やはり同じ課題を有するものというべきである。また,乙11ないし15(…)は,いずれもデジタルカメラ等の光学系に関する発明に係る公開特許公報(…)であるところ,これらの文献には,画像周辺部における光量不足や,射出瞳から像面までの距離の不足といった課題を解決するために「射出瞳を結像面から離した構造として,全てのレンズの前面(読取対象側)に絞りを配置する」構成とすることが記載されており,同技術は,本件特許出願時点で周知であったといえる。以上によれば,公知発明2に,乙11ないし15に記載されたデジタルカメラ等の光学系に関する上記技術を組み合わせる動機付けはあったといえ,同組合せによれば,相違点1に係る構成は容易想到というべきである。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/476/087476_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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