損害論③

 

東京地裁平成28年(ワ)42833等【磁気記録媒体】<沖中>

 

*この事案では、海外で販売されたOEM製品についても、102-2の推定が及んだ。

 

「…一連の行為の意思決定は実質的には 被告OEM製品が製造される時点で既に日本国内で行われていたと評価することができる。」

 

(判旨抜粋)

…被告OEM製品の…販売行為は,形式的には全て被告SSMMが被告OEM製品を海外に輸出した後に行われている…。しかしながら,被告OEM製品は…被告ら…が,本件OEM供給先…の発注を受けて製造し,本件OEM供給先に対してのみ販売することが予定されていたものであるから,…一連の行為が行われた際には,その前提として,当然,当該製品の内容,数量等について,被告らと本件OEM供給先との密接な意思疎通があり,それに基づいて上記の被告SSMMによる日本国内での製造と輸出やその後における被告らによる販売が行われたことを優に推認することができる。そうであれば,上記一連の行為の一部が形式的には被告OEM製品の輸出後に行われたとしても,上記一連の行為の意思決定は実質的には 被告OEM製品が製造される時点で既に日本国内で行われていたと評価することができる。…特許法102条2項の推定が及ぶと解すべきであり,このように解しても,我が国の特許権の効力を我が国の領域外において認めるものではないから,属地主義の原則とは整合するというべきである。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/193/089193_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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