拡大先願(特許法29条の2)違反における、「先願発明」の認定
⇒新規性・進歩性判断における「引用発明」の認定と同じ。
知財高判平成31年(行ケ)第10010号<高部>
「当業者が,先願発明がそこに示されていること及びそれが実施可能であることを理解し得る程度に記載されていれば足りる」
⇒先願発明としての適格性〇
Cf. 知財高判平成25年(行ケ)第10199号「高分子化合物」事件<設樂>
「特許出願に係る発明が特許法29条の2第1項により特許を受けることができないとされるためには,同項の当該特許出願の日前の他の特許出願に係る発明は,完成した発明として開示されていること,すなわち,当該発明に係る明細書において,当該発明が当業者が反復実施して所定の効果を挙げる程度にまで具体的・客観的なものとして記載されていることが必要である。そして,いわゆる化学物質発明が上記の程度にまで具体的・客観的なものとして記載されているというためには,化学物質そのものが確認され,製造でき,有用性があることが明細書に開示されていることが必要であり,化学物質の用途や分野によって,当業者がその製造可能性や有用性が推認できる程度が異なるとしても,少なくとも当業者がその製造可能性及び有用性を認識できる程度の開示が必要であることに変わりはないというべきである。」
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※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)