意匠権の範囲は、出願後狭くなる?

 

東京高判平成9年(ネ)404は、原審(東京地判平成5年(ワ)3966)を引用して,「本件意匠の要部及び類似の範囲は…出願された時点で観念的に定まっているのであり、本件意匠出願後公知となり、類似意匠の出願に先行する意匠の存否にかかわらず一定である」

 

と判示したが…

 

大阪高判令和2年(ネ)211は、「控訴人は,原審が要部を認定するに際し,本件意匠に後行する公知意匠を参照したことを批判する。しかし,ある登録意匠の要部を認定するに当たり,出願後の公知意匠(当該登録意匠を追随したようなものも含まれる。)を観察することによっても,当該登録意匠に含まれる当該形態が, 需要者の注意を引くかどうかを判断することができると考える。」「広義の誤認混同のおそれは意匠法が規律するところではな」い。

 

と判示した.

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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