平成31年(行ケ)10064「椅子式マッサージ機」事件<高部>
*実施可能要件には、禁反言の適用無し!!…
⇒実施可能要件〇
出願経過における出願人の陳述履歴を各論点(充足論、進歩性、記載要件、実施可能要件)の議論でぶつけるとき、何処で使うかが決定的に重要。
使う場所を間違うと、損をする…
(判旨抜粋)
…原告は、被告が本件出願の審査過程で主張した,左右の施療子によって使用者の背中に対し左右交互に前後の叩き動作が繰り返されるという作用効果に関しては,制御手段としてさらに具体的な説明が必要であるのに,本件明細書の発明の詳細な説明には何らの記載も存在しないとも主張する。しかし,実施可能要件の適合性は,請求項に係る発明について,明細書の記載と出願時の技術常識とに基づいて判断され,その判断が,出願人の審査段階の主張により左右されるとは解されない。実施可能要件の適合性の判断を,出願人が出願経緯において述べた事項が禁反言の法理等により技術的範囲の解釈に影響することがあるということと同様に考えることはできない。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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