平成30年(行ケ)10071<大鷹>【導電性材料の製造方法】(銀フレーク)(二次判決)

 

*前訴判決が判断していない相違点の誤り

⇒拘束力は及ばない!!

 

*数値限定という構成自体の容易想到性を否定した。

 

*訂正請求×/進歩性×と判断した無効審決の審決取消訴訟では、「訂正○であっても容易想到である」と反論すると審理対象となり、判決に拘束力が生じてしまう。

 

「引用発明4…を…数値範囲に含まれる構成に置換する動機付けは存在せず」

 

(判旨抜粋)

確定した前訴判決は,請求項9に係る本件訂正を認めなかった前件審決の判断に誤りがあるとした上で,①前訴被告(本件訴訟の原告)は,本件訂正による請求項9に係る訂正が認められる場合でも,本件訂正発明9は「引用発明1」(本件審決の引用発明5)に基づき容易に想到できる旨主張し,前訴原告(本件訴訟の被告)の反論も尽くされているので,進んで,本件訂正発明9の容易想到性について判断する,…容易に想到できるということはできない旨判断し,前件審決のうち,本件発明9は甲5に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたことを理由に,本件特許の請求項9に係る発明についての特許を無効とした部分を取り消した。…前訴判決の上記認定判断及び審理経過によれば,前訴判決が前件審決のうち,本件特許の請求項9に係る発明についての特許を無効とした部分を取り消すとの結論を導いた理由は,本件訂正を認めなかった前件審決の判断に誤りがあること,本件訂正後の請求項9に係る発明(本件訂正発明9)は,当業者が甲5に記載された発明に基づいて相違点9-Aに係る本件訂正発明9の構成を容易に想到することができないから,甲5に記載された発明に基づき容易に発明をすることができたとはいえないとしたことの両者にあるものと認められ,かかる前訴判決の理由中の判断には取消判決の拘束力(行政事件訴訟法33条1項)が及ぶものと解するのが相当である。…

 

【特許★★】「導電性材料の製造方法」事件-①“除くクレーム”で進歩性が認められた事例、②訂正×の無効審決の取消訴訟において訂正〇・訂正後の発明は容易想到でないと判断した前訴の拘束力は、容易想到性の判断に及ぶとした事例。

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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