平成30年(ネ)10017【2-ベンゾイルシクロヘキサン-1,3-ジオン】<森>

(東京地判平成27年(ワ)第2862号<嶋末>も侵害〇)

 

実施可能要件〇だが、相応の試行錯誤を要するとして実施料率を低くした。

 

相応の試行錯誤を要する…。

実施料率は,類似する技術分野の実施料率の分布において,平均よりも一定程度低く位置付ける。

 

(判旨抜粋)

…本件各発明は,除草剤の有効成分又はその候補となる新規化合物を提供することを課題として,化合物の一般式及び置換基の組合せを示したものであるが,発明の詳細な説明において,上記化合物の除草特性に関する個別の実験結果は示されておらず,本件出願日当時の技術常識に照らして上記化合物が除草作用を有しており,除草剤の有効成分の候補となり得るものであることが認識できるにとどまるものである。そうすると,本件各発明の化合物を水稲など特定の作物に用いる農薬として利用するためには,本件各発明の多数の化合物の中からテフリルトリオンのような特定の化合物を選び出した上,その化合物が上記作物の栽培に当たり想定される具体的な雑草に対する除草効果を発揮する一方,上記作物に対する有害性がないことを確認する必要があり,相応の試行錯誤を要することは明らかである。したがって,本件各発明の実施料率は,類似する技術分野の実施料率の分布において,平均よりも一定程度低く位置付けることが相当である。…バイエル特許が存することが認められるが,被告製品2は,本件各発明の技術的範囲に属するから,本件特許を実施してはじめてバイエル特許を実施することができるものであり,前記のとおり,本件各発明の化合物を除草剤とするには相応の試行錯誤が必要であることは既に考慮しているから,バイエル特許が存することを,既に判示したところを超えて考慮する必要はない。

http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/724/088724_hanrei.pdf

 

 

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3788

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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