2023年04月21日
平成29年(行ケ)10099〔ホモロガス薄膜を活性層として用いる透明薄膜電界効果型トランジスタ事件〕<森>
異なる理由の実施可能要件違反の主張は、別の無効理由。
⇒審決取消訴訟の審理範囲外
⇒確定判決の拘束力の範囲も同様であろう。すなわち、当該異なる理由の実施可能要件違反の主張は、確定判決の拘束力を受けることなく、別の無効審判で主張可能ということになろう。
(判旨抜粋)
原告は,本件明細書には,本件発明が発明の課題を解決することができる程度に開示されていないから,実施可能要件を欠く,と主張する。…本件明細書の発明の詳細な説明には,活性層として用いることができるホモロガス化合物のアモルファス薄膜の作製法についての実施例の記載はなく,具体的に説明されていない,というものであり,本件発明の課題を解決することができるようなトランジスタを作製し,使用することが可能であったといえない旨は,実施可能要件の主張としては,述べられていなかった。そして,実施可能要件とサポート要件とは,適用法条を異にするから,別異の無効理由を構成すると解すべきであり,同様の理由がサポート要件についての無効理由として主張されていないからといって,実施可能要件の無効理由として主張されていたと解することはできない。したがって,原告の上記主張は,本件審判手続で現実に争われ,審理判断された特定の無効原因に関するものではないから,主張自体失当である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Cf.令和元年(行ケ)10118<森>は、
「構成の容易想到性」に関する確定判決の拘束力は、
「予測できない顕著な効果」に及ばないとした。
(独立要件説)
⇒そうすると、無効審判段階で「構成の容易想到性」のみを主張しており、「予測できない顕著な効果」を主張していなかった場合に、審決取消訴訟においてこれを主張できないのか!?
https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%e3%80%90%e7%89%b9%e8%a8%b1%e2%98%85%e2%98%85%e3%80%91%e3%80%8c%e3%83%92%e3%83%88%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e3%82%a2%e3%83%ac%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e6%80%a7%e7%9c%bc%e7%96%be%e6%82%a3/?fbclid=IwAR17PGgvDw6Su9CBAnG0FvQcx4OI6HKZHuDlfyTOG7d66MB7HMHMUMZP8bo
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)