平成29年(行ケ)10087<高部>〔建築板事件〕
*相違点はことさらに細かく分けては×
「相違点…は…課題の解決の観点から,まとまりのある構成を単位として認定する」
=平成22年(行ケ)10064<飯村>〔被覆ベルト用基材事件〕
=R1(行ケ)10077<高部>
⇒結論は、特許権者不利
(判旨抜粋)
…本件発明と主引用発明との間の相違点を認定するに当たっては,発明の技術的課題の解決の観点から,まとまりのある構成を単位として認定するのが相当である。かかる観点を考慮することなく,相違点をことさらに細かく分けて認定し,各相違点の容易想到性を個々に判断することは,本来であれば進歩性が肯定されるべき発明に対しても,正当に判断されることなく,進歩性が否定される結果を生じることがあり得るものであり,適切でない。…
本件発明1において,顔料の組合せと,紫外線硬化型インクを用いることとは,技術的意義が同一であるとはいえない。また,一般に,インクを構成する顔料は,インクの種類(紫外線硬化型インク,水性インク等)に合わせて選択しなければならないわけではないから…,顔料の組合せと紫外線硬化型インクを用いることとが,発明の技術的課題の解決の観点から,まとまりのある構成であるということはできない。…顔料の選択とインクの選択とは,別の相違点として検討されてしかるべきものである。…好適な変退色を実現するという本件発明の課題を解決する上では,各色の顔料の退色を同程度にすることが必要であるから,個々の顔料の選択(顔料の組合せ)は,本件発明の課題解決手段として重要な技術的意義があるといえる。したがって,本件発明1において,発明の技術的課題の解決の観点からは,顔料の組合せをひとまとまりの相違点として判断するのが相当である。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/740/087740_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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