進歩性判断における「付加」と「置換」

 

②主引例「A+C」、副引例「B」

⇒CをBに置換

 

平成29年(行ケ)10062「半導体デバイス」<高部>

 

引用発明の構成は不明でなく、本件発明と異なる構成に特定される。

⇒引用発明の構成が特定されると、置換する動機付けが必要。

⇒進歩性〇

 

Cf.H28(行ケ)10061

 

 

(判旨抜粋)

…引用例には,「…」との発明(…)が記載されているものと認められる。よってSiCMOSFETの一の電極とSiCショットキーダイオードの一方の電極がいずれも不明であるとした本件決定の認定には,誤りがあるというべきである。…

そして,引用例には,IGBT4とダイオード5との組合せを,SiCMOSFETとショットキーバリアダイオードとの組合せに置き換える場合,置換えの前後で動作を異ならせる旨の記載や示唆はない。

また,引用発明Aは…を課題とし,…を目的とする発明であって(…),この目的を達成することと,SiCMOSFETの型や並列接続するショットキーバリアダイオードの接続方向を変更することは,無関係である。したがって,当業者が,引用発明Aにおいて,上記目的を達成するために,「前記PN接合ダイオードの一の電極」及び「前記ショットキーバリアダイオードの一方の電極」をカソード電極からアノード電極に変更する動機付けがあるとはいえないから,相違点1’に係る本件発明1の構成を当事者が容易に想到できたものであるとは認められない。

 

http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/598/087598_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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