平成27年(行ケ)10166【ベンゾチオフェン類を含有する医薬製剤】<清水>

 

クレームアップした効果を発明特定事項として容易想到性を問題とした⇒進歩性×

 

審決はクレームアップされた効果は相違点で無いとした

 

(判旨抜粋)

【請求項1】 ラロキシフェンまたはその薬学上許容し得る塩を活性成分として含む,ヒトの骨粗鬆症の治療または予防用医薬製剤であって,タモキシフェンより子宮癌のリスクの低い医薬製剤(※下線部は訂正箇所)

 

(イ) 相違点2

本件訂正発明1は,「タモキシフェンより子宮癌のリスクの低い」のに対し,引用発明は,この点についての記載がない点。…エストロゲンの子宮に対する作用(エストロゲン作用)が子宮癌(具体的には子宮内膜癌)の発生に影響しているところ,タモキシフェンは,子宮に対してエストロゲン作用を示し,子宮成長を引き起こし,子宮内膜を増殖させて,子宮内膜癌の発生頻度を増加させることが技術常識となっていた。他方,…ラロキシフェンは,子宮に対してタモキシフェンよりも弱いエストロゲン作用を示すことは周知であり,子宮湿重量増加作用だけでなく,子宮上皮細胞成長作用も弱いことが知られていたと認められる。そうすると,ラロキシフェンは,子宮癌の発生に関係する子宮に対するエストロゲン作用がタモキシフェンよりも弱いことが周知であり,特に,子宮上皮細胞成長作用がタモキシフェンよりも弱いことも知られていた以上,当業者であれば,ラロキシフェンは,タモキシフェンよりも子宮癌のリスクが低いことを容易に予測し得たということができる。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/263/086263_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)