平成2年(行ケ)10115【美容器】<菅野>

 

「球,あるいは他のあらゆる任意の形状とすることが可能である。」との記載ぶりからすれば,まずは「球」が念頭に置かれていると理解するのが自然である。

 

⇒主引例の中央ハンドルを長尺状のものとする動機付けなし。阻害要因あり。

 

=R2(行ケ)10057<菅野>

 

 

<判旨抜粋>

甲1には,請求項1に「任意の形状の中央ハンドル」との記載があり,発明の詳細な説明中に,ユーザが握る中央ハンドルは「球,あるいは他のあらゆる任意の形状とすることが可能である。」と記載があることから,長尺状のハンドルを排除するものではないと理解することはできる。しかし,「球,あるいは他のあらゆる任意の形状とすることが可能である。」との記載ぶりからすれば,まずは「球」が念頭に置かれていると理解するのが自然であり,しかも甲1の添付図…は,いずれも器具の正面図であり,実施例を表すとされているが,そこに描かれたハンドルの形状や全体のバランスに照らして,球状のハンドルが開示されているとしか理解できないものである。…たとえハンドルを球に限らず任意の形状とすることは可能であるとしても,甲1発明の球状のハンドルを長尺状のものとした場合における操作性の問題があることから,球状の実施形態しか開示されていない甲1発明の中央ハンドルを長尺状のものとする動機付けがあるとはいえない…。…むしろ阻害要因がある…。

 

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/449/090449_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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