平成18年(行ケ)10482<田中>【…害虫防除剤】

 

*先行文献中の多数のマーカッシュ型選択肢の一つであって実験的裏付けがないものに基づいて、進歩性×

 

「甲2に接したならば…を有効成分とする害虫防除剤を…に適用してみようとすることは何ら困難な事柄ではない」

 

(判旨抜粋)

甲2には,イミダクロプリド…が広汎な害虫に対して強力な殺虫作用を…挙げられているのであるから,上記の課題に直面していた当業者が,同一技術分野に属する刊行物である甲2に接したならば,イミダクロプリドを有効成分として含有する害虫防除剤をヤマトシロアリやイエシロアリに適用してみようとすることは何ら困難な事柄ではないというべきである。…

被告は,用途発明の一種である医薬発明に関しては,特許庁の審査基準に,「当該刊行物に何ら裏付けされることなく医薬用途が単に多数列挙されている場合は,技術的に意味のある医薬用途が明らかであるように当該刊行物に記載されているとは認められず,その発明を引用発明とすることはできない。」と記載されていることから,甲2のヤマトシロアリ,イエシロアリに関する記載を引用発明とすることは不適当である旨主張しているが,上記審査基準は,発明の公知性の有無に係る新規性の判断に関するものであり,進歩性の判断の当否を問題とする本件に妥当するものではないから,失当である。

 

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/936/034936_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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