大阪地裁令和2年(ワ)3247【水道配管における漏水位置検知装置】<杉浦>

 

*特許権侵害訴訟提起が不法行為とされた!!

⇒50万円認容

 

「原告は,本訴の提起に先立ち,被告の使用する漏水探査方法やこれに使用する装置に関する調査等を自ら積極的には必ずしも行っていなかった」

 

 

(判旨抜粋)

原告と被告との一連のやり取りにおいて,原告は,被告から「特許侵害等の法を犯す工法ではありません」などと反論されたこともあるにもかかわらず,被告の使用する工法等が原告の特許権を侵害するものと考える理由に言及したことはなく,また,被告が使用する漏水探査方法の具体的内容やこれに使用する装置について質問等をしたのも,平成30年2月7日付け「最後通告書」におけるものが初めてである。加えて,本件における原告の主張立証活動,就中,原告自身が「裁判を提訴するまで,被告の行って居る工法につては,知る由は無かった。」とし,実際,被告が主張する被告装置の構成等を前提として主張立証を行っていることに鑑みると,原告は,本訴の提起に先立ち,被告の使用する漏水探査方法やこれに使用する装置に関する調査等を自ら積極的には必ずしも行っていなかったことがうかがわれる。このような本訴の提起に至る経緯や訴訟の経過等に加え,前記のとおり,被告装置につき本件各発明の技術的範囲に属さないことに照らすと,原告は,本訴で主張する権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであることにつき,少なくとも通常人であれば容易にそのことを知り得たのに,被告による事業展開を妨げることすなわち営業を妨害することを目的として,敢えて本訴を提起したものと見るのが相当である。そうすると,原告による本訴の提起は,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものと認められるから,被告に対する不法行為を構成する。

 

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/580/090580_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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