大阪地判平成30年(ワ)60<杉浦>

 

*特許権譲渡に伴い、ライセンシーの地位も承継した

⇒ライセンス契約上の特許維持義務違反を理由に、ライセンシーが契約解除

⇒原状回復請求認容/8857万円

 

※ライセンサーの特許維持義務は諸説あるが、本件は、契約上の特許維持義務であった。

 

(判旨抜粋)

…事情を総合的に考慮すると,被告は,本件譲渡契約に伴い,本件許諾契約上の許諾者たる地位をJRTから承継した…。…

被告が特許料不納付により本件特許権5~8を消滅させたことは,本件許諾契約上の特許維持義務(…)の不履行に当たる。したがって,本件許諾契約は,原告の解除の意思表示…により解除されたこととなるから,被告は,原告に対し,原状回復義務(民法545条)として,本件許諾契約に基づき原告が支払った実施料の返還義務及び利息支払義務を負う。…本件各特許権のうち最もその消滅が遅かったのは本件特許権6…であり,それまでは,原告は,本件許諾契約に基づく通常実施権者としての地位を享受していた。このため,本件許諾契約の解除により,原告も,その間に享受した利益を返還すべき地位にある。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/194/090194_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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