効果のクレームアップ(権利者有利)⑦

 

平成27年(行ケ)10097<大鷹>【発光装置】

 

*数値限定という構成自体の容易想到性を否定した。(顕著な効果を判断せず)

 

⇒ 親出願の実施可能要件も肯定された。(平成24年(行ケ)第10020号)

 

「青色発光素子が放つ光励起下におけるその内部量子効率を80%以上とする構成(相違点5に係る本件訂正発明の構成)を容易に想到することができたものと認めることはできない。…」

 

(判旨抜粋)

【請求項1】…前記青色発光素子が放つ光励起下において前記赤色蛍光体は,内部量子効率が80%以上…を特徴とする発光装置

 

…本件出願の優先日当時,照明ユニットにおいて発光効率を高めるために,不純物の除去等の製造条件の最適化等により,蛍光体の内部量子効率をできるだけ高めることは,当業者の技術常識であったことが認められる。

しかしながら,他方で,不純物の除去等の製造条件の最適化等により,蛍光体の内部量子効率を高めることについても,自ずと限界があることは自明であり,出発点となる内部量子効率の数値が低ければ,上記の最適化等により内部量子効率を80%以上とすることは困難であり,内部量子効率を80%以上とすることができるかどうかは,出発点となる内部量子効率の数値にも大きく依存するものと考えられる。…

…甲3発明において,Sr2Si4AlON7:Eu2+蛍光体のSrの少なくとも一部をBaやCaに置換したニトリドアルミノシリケート系の窒化物蛍光体を採用した上で,さらに,青色発光素子が放つ光励起下におけるその内部量子効率を80%以上とする構成…を容易に想到することができたものと認めることはできない。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/748/085748_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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