令和1年(行ケ)10139<高部>
*主・副引用発明の技術分野、適用対象、要求される機能、材料がいずれも異なる
⇒阻害要因あり
「甲1発明は,マークの位置や輪郭の寸法 に係る精度が強く求められる」 「甲3文献…その位置や大きさに係る精度 よりも,文字や数字等としての明瞭さや 高い解像度が強く求められる」
(判旨抜粋)
甲1発明は,プリント配線板との位置合わせ用のマークであるアライメントマーク(認識マーク)を備えた金属製の印刷用マスクに関する発明である(…)。また,アライメントマークは,印刷用マスクをプリント配線板に対して正しい位置に配置するためのものであり,カメラで読み取られるなどしてその位置座標が正確に認識されることによって位置合わせ用のマーク としての機能を果たすものといえる(…)から,形成されるアライメントマークには,その形状や記載内容に係る精度よりも,マークの位置や輪郭の寸法に係る精度が強く求められる…。他方で,…甲3文献には,高速度鋼や超鋼合金製の工具類に文字や数字等のパターンをマーキングする方法として,甲3記載技術が従来の技術として挙げられるとともに,その課題を解決する手段として湿式鍍金法を用いたマーキング方法が記載されている。そして,甲3文献に記載されたこれらの技術は,高精度を要求されるドリル等の工具類に識別情報としての文字や数字等を表示するためのものであるから,マーキングされる文字や数字等には,その位置や大きさに係る精度よりも,文字や数字等としての明瞭さや高い解像度が強く求められるものということができる。これらの事情を考慮すると,甲1発明及び甲3記載技術は,各技術が属する分野が異なるものである上,技術の適用対象や要求される機能も異なるというべきである。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/659/089659_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)