令和1年(行ケ)10102<高部>【立坑構築機】
*主・副引用発明の目的が異なる
⇒組合せに主引例の目的の相違に対応する構成を要変更
⇒阻害要因あり
*同時期に係属していたH30(ワ)21448は証拠が異なり進歩性×
「そのまま取り付けることはできないから…引用発明1の構成自体を変更する必要が生じる」
(判旨抜粋)
引用発明1では,小さく分割することでその輸送を容易にしながら,ケ ーシングドライバの大型化を図ることのできる構造の,昇降フレームを提供することを目的とするのに対し,引用発明2’では,種々のケーシングチユーブに適用し, 掘削排土及びケーシングチユーブの回転の両操作を同時に行うことのできる回転式 ボーリングマシンを提供することを目的とするので,両発明の目的は異なる。…直ちに動機付け があると評価することはできない。…
上記の目的の相違に対応して,引用発明1の「昇降フレーム4」は,旋回ベアリング6を取り付ける「取付座4a」を分断するように分割する構成を有し,その「取付座4a」のサイズは一定であり,種々の径の旋回ベアリング6を固定できるよう拡大や縮小が可能なものではないのに対し,引用発明2’の割ライナー4及び割クランプ3は,種々の径のケーシングチユーブをクランプするために締付拡大可能なものであり,回転駆動される割ライナー4,及び割ライナー4を回転可能に 支承する側の割クランプ3の両者が,締付ジヤツキ5の動作によってその径を変更することのできるものである。このような引用発明2’の割ライナー4及び割クランプ3を,旋回ベアリング6の径の変更に対応するための構成を有しない引用発明1の「昇降フレーム4」上の「取付座4a」にそのまま取り付けることはできないから,引用発明1に引用発明2’を組み合わせるためには,分割可能な「昇降フレーム4」及び「取付座4a」という引用発明1の構成自体を変更する必要が生じる。そうすると,引用発明1に引用発明2’を組み合わせることについては,これを阻害する要因があるというべきである。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/346/089346_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)