令和1年(行ケ)10091<鶴岡>【走行練習用自転車】

 

*引用発明の認定は,本願発明に相当する事項を過不足のない限度で認定すればOK

⇒発明特定事項との対応関係を離れて,引用発明を必要以上に限定して認定する必要はない。

 

=令和1年(行ケ)10097<鶴岡>【簡易蝶ネクタイ】

 

(判旨抜粋)

…引用発明の認定に際しては,ひとまとまりの技術的思想を構成する要素のうち,本件補正発明の発明特定事項に相当する事項を過不足のない限度で認定すれば足り,特段の事情がない限り,本件補正発明の発明特定事項との対応関係を離れて,引用発明を必要以上に限定して認定する必要はないと解される。…

本件補正発明は,ボルトの本数を,発明特定事項として何ら限定するものでないから,引用発明の認定に当たって事項①を捨象しても,本件補正発明の発明特定事項に相当する事項を過不足のない限度で認定している…。…

本件補正発明は,三角部材に相当する部材を備えることを発明の構成要素とするものではなく(本件明細書において発明の一実施形態として【0018】で言及され,本願図1ないし3に図示されているにとどまる。),それを除外することを構成要素とするものでもない。したがって,引用発明の認定に当たって事項②を捨象しても, 本件補正発明の発明特定事項に相当する事項を過不足のない限度で認定している…。…

以上によれば,事項①及び②を捨象した審決の引用発明の認定は,引用文献1に開示された考案の有するひとまとまりの技術的思想につき,本件補正発明の発明特定事項に相当する事項を過不足のない限度で認定したものということができる。かかる認定が,引用文献1に記載された技術内容から必須の一部構成を捨象したとも,不当に抽象化・一般化・上位概念化したともいえない。                                          https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/698/089698_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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