「中国における営業秘密管理マニュアル」(JETRO上海、2020年3月)は、日本実務と対比されており分かり易い
例えば、P39~退職者の「競業避止義務」は、私が日本の依頼者に薦めているスキームと殆ど同じで驚きました。
①管理者、高度技術者、秘密保護義務を負う従業員を対象とする
②2年以内 ③補償金(目安は、年収の30%)
※過大な違約金は、無効とされるおそれあり。
…
<引用>
③ 競業避止義務
競業避止義務とは、退職後、特定の期間、特定の地域で、雇用主と競争すること、または、競合他社に務めることを禁止する旨の義務をいう。中国では、労働契約法上、競業避止義務を課す場合に、以下の要件を満たす必要がある(第24条)。
・ 高級管理者、高級技術者、秘密保護義務を負担する従業員を対象とすること
・ 競業避止義務を課す期間は、2年以内であること
・ 一定の補償金を支払うこと14。補償金について約定がない場合、司法解釈(「最高人民法院による労働争議事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」)には、競業避止義務を履行した労働者は、労働契約解除または終了前の12カ月の平均給与の30%、または、労働契約履行地の最低給与標準額のいずれか高い方の金額に従い、月額補償金の支払いを要求できる旨、規定されている15。
・ 違約金を規定することもできるが、過大な金額を規定しても、訴訟や仲裁時に限定される可能性がある。
14 補償金を支払う必要はないとする見解があるが、争いになった場合に、補償金の未払いを理由に、裁判所が当該競業避止義務条項を無効と判断されるリスクは否定できない。また、競業避止義務を課された労働者は、補償金が3カ月間支払われない場合には、競業避止義務契約の解除を請求できる旨の規定がある(「最高人民法院による労働争議事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」8条)。
15 地方の条例において、基準額が定められている場合もあり、おおむね、この司法解釈の基準に沿っているが、各地の条例内容を確認しておくとよい。
https://www.meti.go.jp/…/eco…/chizai/chiteki/besshireiwa.pdf
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※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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