東京地判平成14年(ワ)23687【テレホンカード】<飯村>
*分割出願の原出願の出願経過中における特許権者の主張が、クレーム文言解釈に考慮された。
※大阪地判H17(ワ)12207と整合する。
「原出願に係る当初明細書及び図面から,出願人が,補正によって,意識的に,一部を削除した場合には,分割出願に当たって,既に削除した事項に含まれる考案を拡張することは許されない」
(判旨抜粋)
本件考案は,本件原出願に係る当初明細書及び図面が補正され,出願公告がされた後に,本件原出願から分割出願されたものである。
このように本件原出願に係る当初明細書又は図面が分割出願前に補正され,出願公告されている場合には,分割出願に係る考案は,本件原出願に係る当初明細書又は図面及び補正後の公告明細書又は図面の双方に記載されている考案であることを要するものというべきである。
したがって,分割出願に係る「実用新案登録請求の範囲」を確定する場合においても,原出願の過程を考慮して解釈すべきことは当然である。
特に,原出願に係る当初明細書及び図面から,出願人が,補正によって,意識的に,一部を削除した場合には,分割出願に当たって,既に削除した事項に含まれる考案を拡張することは許されないので,分割出願に係る「実用新案登録請求の範囲」の確定に当たっても,右の趣旨に沿った解釈をすべきことになる。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/371/011371_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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