令和5年(行ケ)10011【携帯端末の遠隔操作用デバイス】<宮坂>
*除くクレームで進歩性×
「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)」と補正した。
⇒引用文献中の独立請求項に記載された事項を『引用発明の必須事項』として除いたが、斥けられた。
(判旨抜粋)
原告は、相違点2(引用発明は表示されている映像がカメラで撮影されている点)に関し、引用発明において端末表示部の表示画面の「撮像」は必須の構成であり、これを置き換える動機がないと主張する。
しかし、引用文献1(甲1)の記載上、引用発明において「撮像」、すなわちカメラで映像を撮影することが必須の構成であることを示唆する記載は見当たらない。
また、本件審決が引用する引用文献2(甲2)及び被告が本件訴訟において追加した周知例(乙1、2)によれば、本願の優先日当時、無線通信を用いてスマートフォンなどの携帯端末の画面に表示された画像を別の装置の画面に表示する技術であるmiracast は、android4.2 の標準規格としてスマートフォンにおいて広く用いられている技術であり、スマートフォンの画面をmiracast で車載モニタやカーナビゲーション装置の画面に出力することも、普通に行われていたことが認められる。そして、引用発明における「撮像部252」の意義は、「撮像部252が撮像した携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示することで、ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させることができる。」(甲1【0081】)ことであり、「携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示する」機能、すなわち「ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させる」作用という点では、「撮像部252」とmiracast 等の上記技術は共通するものといえる。
そうすると、引用発明において「撮像部252」に代えてmiracast 等の周知技術を用いることで、「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部(22)」を備えた構成とすること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/579/092579_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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