京都地判平成8年(ワ)1597【サーマルヘッド】
*分割出願の原出願の出願経過中における特許権者が主張も、クレーム文言解釈に考慮されなかった。
「分割出願に係る特許権の成立が原出願と密接な関係にある場合において、分割出願の際に既にもととなった原出願の願書に添付された明細書又は図面の意味内容が原出願の出願経過の参酌により明らかになるような例外的な場合に限り、原出願に係る発明の出願経過を参酌することができる」
(判旨抜粋)
分割出願に係る発明と分割後の原出願の発明は、別個独立のものであるから、右と同様に、分割出願に係る発明の技術的範囲を確定するのに原出願の発明の出願経過を参酌するのは原則として相当でない(原出願の発明の出願経過において述べられたことは、分割出願に係る発明に関して述べられたものとはいえない。)。
ただ、分割出願に係る特許権の成立が原出願と密接な関係にある場合において、分割出願の際に既にもととなった原出願の願書に添付された明細書又は図面の意味内容が原出願の出願経過の参酌により明らかになるような例外的な場合(この場合は、分割前の原出願の明細書の意味内容が確定されることにより、右明細書に記載されている分割出願に係る発明の意味内容も分割出願の時に明らかになっていると評価することができる。)に限り、原出願に係る発明の出願経過を参酌することができるというべきである。
http://imaokapat.biz/hanrei/jirei039-h8-1597.html
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)